③理解・判断力の低下
第一にスピードが遅くなります。
第二に一度にいくつものことを並行して考えることができなくなります。
第三にいつもと違う状況に柔軟に対応できなくなります。
特に、抽象的な概念を操作しなければならないような複雑な抽象施行はできなくなります。
この項目は、脳の機能低下を判断する一つの指標でもありますが、他者が本人に話す時に配慮すべき点にもなります。
男の認知症の方で、この機能が低下しているが、それを知らずに介護者がいつも通り話しかけることで、急に怒り出した。なぜか、あの介護職員が関わる時だけ、拒否があると言った場合、このことを理解せず接していることもあります。
自分のペースで話すのではなく、相手の理解、判断スピードも配慮しながら話しかけましょう。
④実行機能障害
実行機能または遂行機能と呼ばれる能力は、われわれが現実の生活の中で行うさまざまな行動を可能にしているプログラムの立案、遂行機能のことです。
実行機能の障害
現実の状況認識(二人暮らしで夕食の準備をする例)と計画
昼の残りご飯をあたためる。アジの開きお豆腐と大根のみそっしる
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新しい情報
高校1年生の孫が遊びにくる
状況の変化
育ち盛りの男子がくる。
↓
計画の修正
ステーキを作ろう。ご飯を4合炊こう。スープ・サラダを作る。温野菜
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行動
スーパーに肉を買いに行く。
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新しい情報
サンマが安くておいしそう。ステーキ用の良い肉が売ってない。
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計画の再修正
サンマを3匹飼う。大根おろしを作るので味噌汁の具は他の物にする。ご飯4合はそのまま。温野菜をやめて、サトイモと人参の煮物に変更する。
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行動
台所で調理
いわゆる、IADLは、このポイント全てうまく機能しなくては実行できません。とても複雑な行動を私たちは行っていることをまず理解しましょう。
そして、脳の機能低下や判断スピードが低下している方が、これを実行するのはかなり負担になることは想像できますよね。
私たちは、このポイントでどこが負担となっているのか?を調べていき、負担が多い所をフォローしていくことが重要となります。
⑤感情表出の変化
感情表出のメカニズム
刺激 → 知覚・理解 → 経験・記憶、現実見当 → 判断→ 感情 → 知覚・理解、経験・記憶 → 判断 → 感情表出
認知症はまず、判断のもととなる状況の把握が困難となります。話のプロセス、ことの経緯を記憶できない為、その場の言葉の意味を判断できません。
感情表出のメカニズム等で理解していけば、認知症者が周囲の状況をどう理解しているかを考えることで、了解不能と思われた感情表出の意味が推測できるのです。
ケアマネージャーに限らず、生きていると苦しい時代が必ず訪れます。
今、辛い方はもちろん、そのほかのかたも、一度読んでみてください。