居宅支援事業所の場合の状況把握について
前回の状況把握は、施設がベースとなっていました。
今回は、居宅支援事業所です。
居宅支援事業所の場合はどうしたらよいかを考えていきます。
基本は施設の考え方をベースでよいのですが、ここでもテクニックが必要ですので、そこを解説していきます。
施設の場合、利用者の状況把握は介護職員や看護職員に確認することで把握できます。在宅の場合はそうはいきません。
実際暮らしている家族からの聞き取りとなります。
ご家族は介護のプロではありませんが、利用者のことをより深く知っています。
そこはすごく良い所ですが、課題分析する際には支障となることも多いです。
ですので、プロである私たちが、必要な情報を抜き取る技術が必要です。
まずは、厚労省の課題分析表を見ていきます。
課題分析(アセスメント)に関する項目
No. |
標準項目名 |
項目の主な内容(例) |
10 |
健康状態 |
利用者の健康状態(既往歴、主傷病、症状、痛み等)について記載する項目 |
11 |
ADL |
ADL(寝返り、起きあがり、移乗、歩行、着衣、入浴、排泄等)に関する項目 |
12 |
IADL |
IADL(調理、掃除、買物、金銭管理、服薬状況等)に関する項目 |
13 |
認知 |
日常の意思決定を行うための認知能力の程度に関する項目 |
14 |
コミュニケーション能力 |
意思の伝達、視力、聴力等のコミュニケーションに関する項目 |
15 |
社会との関わり |
社会との関わり(社会的活動への参加意欲、社会との関わりの変化、喪失感や孤独感等)に関する項目 |
16 |
排尿・排便 |
失禁の状況、排尿排泄後の後始末、コントロール方法、頻度などに関する項目 |
17 |
じょく瘡・皮膚の問題 |
じょく瘡の程度、皮膚の清潔状況等に関する項目 |
18 |
口腔衛生 |
歯・口腔内の状態や口腔衛生に関する項目 |
19 |
食事摂取 |
食事摂取(栄養、食事回数、水分量等)に関する項目 |
20 |
問題行動 |
問題行動(暴言暴行、徘徊、介護の抵抗、収集癖、火の不始末、不潔行為、異食行動等)に関する項目 |
21 |
介護力 |
利用者の介護力(介護者の有無、介護者の介護意思、介護負担、主な介護者に関する情報等)に関する項目 |
22 |
居住環境 |
住宅改修の必要性、危険個所等の現在の居住環境について記載する項目 |
23 |
特別な状況 |
特別な状況(虐待、ターミナルケア等)に関する項目 |
初回時にすべての項目を確認することは難しい場合がほとんどだと思います。
インテークは、なぜ介護保険を利用するのかやサービスの内容説明でかなりの時間が必要だからです。
ですので、2回目以降にしっかりとしたアセスメントをしていくこととなります。
施設の場合だと、介護職員や看護職員に聞き取りすることで把握できますが、居宅ではどうしていくか?
基本は同居人(家族が多い)への確認と実際にケアマネが身で見て判断することとなります。これは、ADL・IADL・認知・コミュニケーション能力・口腔衛生・食事摂取・排尿・排便・居住環境・特別な状況が該当します。
食事や排尿排便、口腔衛生については、直接確認できない場合あります。直接確認できなくても本人に聞き取りで判断できることも多いのですが、認知症で確認できない場合あります。その際は、予測で記入していくことと必要な介護サービスも含めて検討していかなくてはなりません。
わかりやすいのは、トイレは自分でしっかりできていると言いながら、尿臭が強い場合等です。
この場合、デイサービスや訪問介護、ショートステイの利用をすすめて、その事業所に失禁状況の情報を頂くこととなります。
健康項目・褥瘡・皮膚の問題は、かかりつけ医に確認することで把握できます。
社会との関わりは近所の方への聞き取りが必要な場合もあります。
介護力は直接関わっている家族等への聞き取りとなります。
以上内容を聞き取り、課題分析に必要な情報がそろう形になります。
居宅介護支援事業所は、使用しているソフトがあるので、そこに記入していきますが、私が関わった居宅介護支援事業所は、確認項目がかなり多いと感じています。
その為か、記入漏れが多いのが特徴です。
ですので、ADL関係はケアマネの情報はあまり参考とならないケースが多いです。参考となる項目は、「基本情報に関する項目」でした。
ここから、私が思うことは、チェック項目が多すぎるのは、現実問題として、入力ミスが多かったり、入力が多いということはそれだけ時間もかかるので、職員負担が大きいです。
私は、過去にMDS方式を行っていましたが、どんなに慣れたとしても、チェックするだけで60分以上はかかりました。特に新規の場合は、しっかり行うと2時間以上はかかります。
新規でケアプランを作成するとなると、情報収集で30~60分。そこから、MDSに入力するのに、2時間。課題抽出に10分程度。そこから、ケアプランの原案を作成にとりかかります。利用者の状況にもよりますが、30分程度。すべて足すと、最大 3時間4分程度はかかる計算となります。9時から仕事を開始したら、お昼すぎまでかかる計算です。
これを30人やると、15日はかかる計算です。
ケアマネの仕事はこれだけではないですよね。これでは、いくら時間があっても終わりません。
ですので、個人的には、MDSはおすすめしません。
また、入力項目が多いものも、おすすめしません。
ケアプラン原案の作成まで、極力少ない時間で最大の効果を発揮することが重要です。
これを実現するには、基礎知識が重要なカギを握ります。
まとめ
いかがでしたか?
状況把握といっても施設と居宅では根が一緒でも実際行動することやテクニックはかなり違いあります。
今回、MDSはおすすめしませんでしたが、基礎知識がないときは、とても有効であります。MDSをチェックしていきながら、基礎知識をつけていくこともできます。
ですので、自分の知識量に合わせて状況把握ツールを使い分けていきましょう。
MDSですが、作成するツールがネット回線を利用する形式に変更。利用者人数によって、値段が変わります。昔はCDROMでした。
私は、CDROMの時に使用していましたが、使いがってが悪く、エクセルで作り直しました。それにより、継続の方の作成時間が大幅に短縮できました。でも、課題抽出するところの紐づけが少し間違っていましたが・・・・。でも、よかったです。
そんなものでほしい方は連絡ください。
また、ケアマネジメントについて、学びたい方もいましたら、個別で指導することもできます。お気軽に連絡くださいね。