第5章 モニタリング
自分の作成したサービス内容が実施されているのか?
課題解決に向かっているのか?
を判断する作業です。
モニタリングのポイントとして、サービス内容の実施状況、利用者・家族のニーズの変化がないかや満足度、利用者の状態の変化がないか、多職種から変更の必要性がないかを確認しましょう。
※介護負担の軽減については、2つの質問で。ストレスの把握にも有効ですので確認しましょう。
・楽になりましたか?
・具体的にどの点が楽になりましたか?
初心者の場合、モニタリングができない等と話す方もいます。
この「できない」には、どうやって評価するべきかわからないということと、仕事が忙しくて時間が作れないという意味があります。
1 評価方法がわからないことについて。
評価方法がわからない方は、第2章と第3章が理解できていないこととケアプランの表現が原因であることがほとんどです。
原因について、具体的に考えていきますよ。
例えば、転ばないという目標だったとします。調べると、実際に転んではいなかったという結果があるとします。
これをどうやって評価していくことか?
転んでいなかった=目標達成と単純に評価することができますが、これでは、次のケアプランを作成する時に支障をきたすこともあります。
転ばないという課題と目標を作った時に、課題分析標準項目で、どのような状況判断をして、アセスメントはどのような流れでケアプランに反映すると決めたのかを振り返らないといけません。
例えば、転ばない目標を作った場合、課題分析標準項目には、歩行が一部介助等と判断していたはずです。そこの歩行が一部介助の理由がなんであったのかを思い出すことです。
なにも使わずに歩こうとすると転ぶが歩行器を使うと一部介助で移動ができる。とか、杖などを使うと自立だが、なにも使わないと一部介助が必要であるかによって、支援方法は大きく違いがでます。
ですので、転ばなかったとの評価をする際に、歩行器などを利用することが定着してきた為、転ばなかった。や、家族が毎日に見守りをして付き添えたから転ばなかった。との評価を書かないと次のケアプランをどうしていけばよいかわからなくなります。
家族が見守っていたから転ばなかったという評価であれば、歩行器などを理解できなかったということになります。しかし、家族の介護負担が増えていくと家族が倒れてしまうので、家族負担軽減を考えたプランに変更していくことも検討しなくてはなりません。
歩行器を使用することが定着したならば、転倒予防のケアプランは終了してもよいかもしれません。
このようになにを評価すべきかを理解して、モニタリングをしないと仕事量だけが、どんどん増えていき、結果的にモニタリングする時間がないといって、やらなくなり、返戻(お金を返さないといけなくなる)となる事態になります。
モニタリングも技術が必要です。
やり方によって、効率性を高めることができます。
私は、これをしっかり実施することで、次のケアプランを作成する際の時間をぐっと短縮できました。
よくわからずモニタリングしている時は、苦痛でしかありませんでした。
特にモニタリングを意識できていない時のケアプランだと、評価すらできない場合があります。
介護保険制度が始まって間もないころは、こんな目標がありました。
「楽しく過ごすことができる」「行事に参加できる」「○○さんとお話ができる」
この目標は、けっして悪い目標ではありませんが、自立支援型のケアプランではありません。
もし、この目標を達成したのかを評価する場合は、ご利用者様の満足度のみとなってしまいます。
この評価をした場合、達成できても継続していくとの結果となります。達成できなければ、施設の場合だと、代替え案を提示できないことが多いです。
今日、満足度が満点であったとしても、来週は低評価となることだってあります。この評価方法はかなり不安定である為、都度都度、確認することが必要の為、モニタリングを何度もしなくてはならなくなります。
ケアマネジャーも忙しい職種ですので、ある程度効率よく仕事をしていくことも重要です。
目標は「○○さんと話せるよう1時間は起きて過ごせるようになる」「歩いて散歩できるようになり、楽しく過ごせる」「トイレに座り排泄することが毎日できる」等、これも目標だけみると疑問がわいてきますが、課題分析標準項目の状況把握をしっかりすることが大事となります。
念の為、「楽しく過ごすことができる」「行事に参加できる」「○○さんとお話ができる」でも課題分析標準項目で状況把握ができていれば、しっかりとしたモニタリングは可能です。
例えば、課題分析標準項目で、旅行にいくことが最大の楽しみで、それに向けてリハビリを頑張ることで楽しく過ごすことができるということを把握していれば、モニタリングはしやすいです。
また、行事に参加できるという場合は、詩吟を唄うことが楽しみであるが、誰かに聞いてもらうことが最大の楽しみ、喜びであるから、詩吟が披露できるぎょうじに参加できるよう、体力づくりをしたり、みんなに披露できる詩吟の唄を作る為に、サークルに参加するというところまで把握できていればよいわけです。
ここまで、しっかりとした状況把握ができていればモニタリングは簡単です。
また、目標の変更が必要な場合もすぐに判断できます。
まとめ
モニタリングだけを考えてしまうと、評価ができなくなります。全ては繋がっていることを意識して、課題分析標準項目の状況把握からモニタリングを意識して仕事ができるよう勉強していきましょうね。
モニタリングだけを書いた本があります。
このように、その部分だけを書いた本を読むことも大事です。
モニタリング: 準備から実践の流れ、事後対応まで (だいじをギュッと!ケアマネ実践力シリーズ)