介護保険が始まってから、10年以上経過しており、その制度内容はかなり変更が加えられており、当初の考え方なども変わってしまいました。
これから、介護保険制度はどこに向かっていくのか?を知る為にも、始まった時の流れを知っておくと、今後の流れを理解しやすくなります。
それでは、介護保険の歴史を解説していきます。
ゴールドプランから話をすすめていきます。
平成元年(1990)
「高齢者保険福祉推進10カ年戦略(ゴールドプラン)」
市町村における在宅福祉対策の緊急実施、施設の緊急整備が図られ、特別養護老人ホーム・デイサービス・ショートステイなどの施設の緊急整備、ホームヘルパーの養成などによる在宅福祉の推進などが本施策の柱として掲げられました。
平成6年(1994)
「高齢者保険福祉推進10カ年戦略の見直しについて(新ゴールドプラン)」
ゴールドプランの目標を引き上げる。
平成11年(1999)
高齢社会福祉ビジョン懇談会が「21世紀福祉ビジョン」をまとめる。
・21世紀の少子・高齢社会における社会保障の全体像や、主要施策の基本方向、財源構造のあり方などについての中長期的な方向性を具体的・定量的に示した提言。21世紀に向けた介護システムの構築の必要性が明示されました。
平成12年(2000)
「介護保険法」が実施。
・措置から契約へ。高齢者ケアマネジメントの導入。
「今後の5カ年間の高齢者保険福祉政策の方向(ゴールドプラン21)」の策定。
・活力ある高齢者像の構築、高齢者の尊厳の確保と自立支援、支え合う地域社会の形成、利用者から信頼される介護サービスの確立、の四つの柱を基本的な目標として掲げました。
介護保険施行前の制度の状況についても理解すると、介護保険制度のすごさもわかるので、解説します。
「老人福祉法に基づく老人福祉制度」と「老人保健法に基づく老人医療制度」の2つの制度で対応していた。相談や利用の窓口が別々で利用しにくいなど、制度間の不整合が多かった。
老人福祉制度
措置制度による運営
(問題点)
①サービス利用は権利ではなく、保障が十分ではない。
②市町村がサービスを決定するので、利用者が選択しにくい。
③応能負担のため、所得調査を伴う。
④民間企業の参入がしにくく、競争原理が働かない。
老人医療制度
保険による運営
(問題点)
②1人当たりの居室面積が狭いなど、療養環境が不十分。
介護保険施行 制度創設のねらい
・社会保険方式の導入
「利用者本位」のサービス提供。
ケアマネジメントを制度化→利用者の立場を重視
民間活力の活用
制度が色々あり、わかりづらかった。使いづらかったのをわかりやすくしたのが介護保険制度といってよいでしょう。
ただし、現在はかなり複雑な制度ではありますが、ケアマネージャーがいることで利用者自身は利用しやすくなり、介護難民や介護離職、孤独死等をかなり防ぐことができています。もし、介護保険制度がなければ、ひどい状況となっていたでしょう。